当茶園が他とは違うその理由


一般的な茶園のお茶の樹齢は10年余り

当茶園のお茶の樹齢は60年以上

 

一般的な茶園では、茶樹は10数年しか活躍することができません。

しかし茶樹自体は、もともと数百年生きる「力」があるのです。

なぜ一般的な茶園が10数年しか活躍することが出来ないのでしょうか。

1.「化学肥料」や「農薬」

それは1つ目に、農薬や化学肥料によって茶樹自体の免疫力等が落ちてしまい、病気や虫などへの抵抗力が阻害されることにあります。

お茶は、その免疫力や抗酸化力の高さなどから「虫も食わない」と言われるくらい、虫が付きにくい樹木なのですが、いつの間にか、その免疫力や抗酸化力が農薬や化学肥料の過剰摂取により、低下してきたと考えられています。

昭和60年に農林水産大臣賞受賞経験をもつ茶園
日本の在来品種からの選抜品種であるやぶきた茶をはじめ、相良村四浦地区にて、長い年月をかけて自然交配を繰り返して生き続けている在来品種ヤマチャを生産している。



2.過度な「人工的品種改良」

2つ目に、味や色を重視するあまり、過度な人工的品種改良を行ってしまったため。

自然に作られる品種であれば、自然に生きる力があります。現在、国内で栽培されているお茶の90%以上を占めると言われている「やぶきた」は、もともと「選抜型品種」と言われており、在来品種(※日本国内で自然交配により独自の種の保存を長い年月をかけて行ってきた品種)の中から、味や色、耐寒性や耐病性の高い品種を選抜して品種として確立されてきました(やぶきたのほかに、「たまみどり」などの品種も選抜型)。

そのやぶきたでさえも、今では農薬や化学肥料なしでは、高品質なお茶の生産は難しいと言われています。

また、日本に古くから存在している「ヤマチャ※在来品種」が、自然交配により独自の種の保存を継続してきたのに対して、現在高級品種としてその地位を確立している「べにふうき」などの品種は「人工交配型」のものです。

べにふうきの前身品種は「べにほまれ」と言われる品種で、もともと紅茶で有名なインドのアッサムから1880年代後半に、日本国内に持ち込まれました。そしてその「インド紅茶品種」から、日本国内の環境に合う品種を選抜して広がった、言うなれば「インド茶(外来)」です。しかしながら、べにほまれは、日本紅茶を世界へ広げるために選抜された、現在では幻の紅茶品種と言われています。

そのべにほまれ(種子親)に「枕Cd86(花粉親)」という、ダージリン系の品種(これも外来です)を人工授粉させて作られたのが、今注目されている「べにふうき」と言われる品種です。

べにふうき、べにほまれのほかに、べにふじなどの品種も、やはり外来品種と言えます。

当茶園では、日本の在来品種である「ヤマチャ」を中心に、その在来品種からの選抜型品種である「やぶきた」「たまみどり」を栽培しています。

紅茶や半発酵茶向きのインドからの外来品種であるべにふうきなどの品種には、その品種の良さが当然ありますが、当茶園では、あくまでも「純和(日本)産」を頑なに貫き、その古き良き日本の在来品種が本来持つ、香りや味・色だけでなく、もともと日本茶が持っている「生きる力」を大切にしたいと考えております。



3. Introduction of heavy machinery

3つ目に、効率を重視するあまりに導入された「大型の機械」の存在です。この大型機械は、巨大なキャタピラで、茶園の中を走ります。本来であれば、豊穣な土壌でなければならない土壌が、そのキャタピラで踏み固められるため、茶の根は思うように大きくなれず、また土の奥深くまで根を延ばすことが出来ません。そのため、養分を吸収することが出来ず、結果的に短命で終わるのです。

短命で終わるというのは、お茶の木自体の生命力が落ちることにも起因しますが、それ以外に、茶の流通(販売)において、約15年を過ぎると「品質が落ちる」と一般的に認識されているため、品質が落ちているかどうかの真偽は別として、「茶樹の入れ替え」がなされてしまいます。

本当は大型機械や農薬・化学肥料の使用を控えれば、実はまだまだ生きることができるのでしょうが・・・。

ちなみに、大型機械の導入をすることによって、大量生産及び農業従事者の減少に対応でき、労働力にかかる人件費を大幅に削減でき、利益も向上されるとされていますが、実はまったく逆です。

この大型機械の1台当たりの平均的価格は、約500万円から1000万円です。茶農家1件当たり、この大型機械が2台から3台ありますので、各農家は安くても1000万円前後の負債を抱えていることになります。

加えて、大量生産に対応するために導入された大型機械ですが、今まさにその大量生産方法が自らの首を絞める結果につながっています。

簡単な市場原理です。

「大量に生産されるようになれば、自ずとお茶のkg単価は下がる」

2014年の当茶園周辺の大型機械導入&農薬・化学肥料をたくさん使う農園で生産された新茶価格ですが、初摘みで一番価格を付けた新茶で「4000円/kg」でした。平均は2000円前後で、その翌日には、1500円/kgに落ち込み、1週間経たないうちになんと500円/kgまで下がってしまいました。

大型の機械を使用して、拡大そして大量生産をすればするほど、市場価格は激減してしまい、容易に予想できることですが、同じ品質なら、海外のもっと安いお茶を市場では受け入れることになります。

そうなれば、日本国内で普通に栽培しているお茶農家の方は、これ以上お茶を生産できなくなるでしょう。

もしできるとしたら、「もっと効率を良くして、大量生産をし、価格がいくら安くなっても対応できる生産方法をし続ける」ことです。

当茶園では、当然大型機械を使用しません。「可搬式茶摘機」と言われる、重さも10㎏前後の小型の機械を使用しています。

茶園の中を歩く際にも、土を踏み固めないように、たいへん注意深く歩くことを徹底しています。その土壌はふわふわで、農園を訪れるお客様は「絨毯の上を歩いているようだ」とよく仰います。

あくまでも生産(生育)は、自然に任せること。

そのために(少しだけ)手を貸すだけです。


土壌PH値
お茶は、PH4~5(酸性土壌)が生育上もっとも適しているPHだと言われているが、当農園は、PH6.7(ほぼ中性)の土壌となっている。(2014年5月現在アナログ計測器)

土壌水分量
土壌水分量(率)は、約40%弱。この日は晴天で、土壌表面から約5㎝の地中で直接計測した。大型機械導入を導入し、また農薬や化学肥料で汚染された茶農園を計測したが、完全に「DRY(乾燥)」だった。土壌の水分保持は、農園維持の上で必要不可欠な要素。



在来種(固定種)での実生栽培

通常、お茶葉は苗から成長させます。

しかし、当茶園では実生、つまり「種」から栽培。しかも種はF1と呼ばれる交配種ではなく、在来種(固定種)または、在来種からの選抜型品種を栽培しています。

実生栽培の場合、刈り取りまでに約15年もの歳月がかかります。通常の苗からであれば3年程度で刈り取りが可能になることを考えれば、いかに時間と手間がかかっているのかがお分かりだと思います。

それでなくても15年。この決断は並大抵のものではありませんでした。

海外からの視察風景
海外からも「リアルジャパニーズフード(本物の日本食)」を求めて、多くの企業さんが視察に訪れている。(※写真は、gruenertee.de(ドイツ)のシュワイカート氏と)      関連URL:http://gruenertee.de 

 

完全無農薬と無化学肥料栽培

 

在来種の種を植えたのが69年前。完全無農薬&無化学肥料栽培にして38年が経過しました。(2015年現在) 

その間、農薬・化学肥料をはじめ、除草剤・殺虫剤さえも使いませんでした。手間のかかる栽培管理ですが、草もたくさん生えているため、よく「お茶園やっているの?」と聞かれることも多々あります。日本の現在の多くのお茶園の形を、当社では「角刈り」と呼んでいます。角刈り茶園の特徴は「ピシッとカクッと」した形であるということです。当茶園の茶樹の形は「円(丸)」で表現したほうが正しいでしょう。昔ながらの農園の形を維持しているのが当茶園です。今では、海外の企業さんとの取引が国内の企業さんとの取引を上回り、当茶園の「真の無農薬・無化学肥料栽培」「より自然な茶栽培」が、ありがたいことに海外で評価されております。有機JASも、平成17年に取得しておりましたが、有機JASの継続には、結構な資金がかかり、また国内においての認知度及び評価が、価格に大きく転嫁されることもないため、平成25年度には一度認定をやめてしまいました(※正確には、更新料不払いが原因で、有機JAS認証取り消しとなりました。みなさんが考えるより結構高いお金がかかります。海外取引企業さんからは、「日本のオーガニック認証における、高額な取得費用及び更新費用が、オーガニック農産物や加工品が増えない理由かもしれませんね」とも言われました。ちなみに、例えば、ドイツのオーガニック農産物の全農産物に占める割合は、約12%です。それに比べて日本のそれは0.2%程度です)。しかし、海外との取引が増えるにつれ、特にヨーロッパなどのオーガニック先進国では、しっかりとした認証が無くてはオーガニック(有機農産物及び有機加工品)としては評価されません。そのため、翌年の平成26年に、再度有機JAS認定「認定番号:SEZ-26030551」を取得いたしました。



動物性素材を使わないで独自で作った自家製の有機肥料

当茶園で使用する有機肥料の原材料には、ケミカルなものは当然使用しませんし、動物性素材(牛・豚・鶏の糞)も原料に使用しません。動物性原料には見えないキャリーオーバー成分(化学飼料による残留)が含まれているのがその大きな理由です。 

遺伝子組み換えを行っていない大豆で出来たおからや黒糖などに、いりこや海藻類を主原料として利用。 これを「数種類のバクテリア」により分解させます。

(原材料は、すべて「熊本産」にて完結しております。原材料に関しても、その生産現場を確認して仕入れをするよう徹底しており、特に2011年3月11日の起こった震災の影響からの放射能汚染に関しましても、その原材料に使用する素材が汚染されていないかどうかも徹底してそのトレーサビリティを確定させています)

この数種類のバクテリアは、持ちつ持たれつ(共存)の関係にあるため、ひとつでも動かなくなると、他の数種類のバクテリアも死滅(腐る)してしまいます。

そうなると肥料としてはまったく意義を持ちません。その為、肥料の維持・管理には最大限の注意を払っています。

肥料を作るのに要する期間は「約半年」。分解中の土の温度は約70度。 バクテリアの活動によりこの温度まで高まります。この肥料でお茶に「ちょっとだけ」手助けしてあげるのです。

今では、このバクテリア自身が茶園で増殖。ほとんど追肥(施肥)することはありません。土自身が成長を始めたのです。これも自然のなせる業です。

キャリーオーバーの懸念から動物性(牛・豚・鶏)原材料を排除した独自の有機肥料

当農園では、独自の有機肥料を使用しているが、その原材料はすべて「熊本県内」に限定している。見えないキャリーオーバー成分(農薬・化学肥料・放射性物質など)排除には、資材関係への配慮も不可欠な要素。



飛散農薬対策への取り組み

 

当茶園の周囲は700m以上の山々に囲まれている茶園ですが、北西の風に乗ってくる飛散農薬から茶園を守るため、茶園の周囲は「防風林」で保護されています。

周囲の茶園などで使用される農薬や化学肥料など。茶園を守るためには周囲背丈約3m以上の防風林を、茶園の一部の敷地を犠牲にして自然育成。

この北西の風に乗ってくる飛散農薬を最大限防いでいます。 

この取り組みをはじめ、すでに30年経過しており、これらの防風林のおかげで残留農薬を排除。今ではこれらの農薬が検出されることはありません。(試験成績証明書あり)

茶園で生命を創るツユクサそしてクモ

茶園は、雑草そしてクモ・カナブン・カマキリなども生命を創る場になっています。

茶摘みの時期のみ、人の手だけで雑草を取り払い、できるだけ自然の環境の中でお茶の生育を維持させる取り組みを行っている(ただ、本当に草取りは大変な作業です)。



茶園に大型の機械を導入しない

「大型の機械」はお茶を育てるにあたって、労力的な面で非常に役に立ちます。お茶を育てるには多大な労力と時間がかかりますが、それらを補ってくれるのです。しかし、当茶園では使っていません。

それは、これらの機械があまりに重いこと。「大型の機械」のキャタピラは土を踏み固め、茶の根の育成を阻みます。茶の根が大きくなれず、また、土の奥深くまで値を伸ばすことができない。これはお茶が養分の吸収ができないことを意味し、一本一本のお茶が短命に終わってしまうのです。

当茶園は労働力とお茶の命を天秤にかけた結果、お茶の命を選んだのです。

茶園通路土壌

乗用機械(キャタピラ)を使用せず、可搬式(小型機械)を使用し、土壌に負荷をかけない取り組みを行っている。

また、当然除草剤も殺虫剤も使用しないため、写真のような土壌(草)を形成している。